Seagate製の新品HDDを買ったら中古だったという報告が多数。新品に偽装。ヤバすぎ。ドイツにて
Seagate製の新品HDDを購入したら中古だったという報告が多数出ています。ドイツメディアのheise onlineが報じました。
Seagate製の新品ハードディスク(以下、HDD)を購入したら、それが実は中古品だったという報告が出ている。当メディアだけでも約50名もの読者が報告している。 読者からの情報によると、購入先は、独Amazon、JB Computer、Mindfactory、Reichelt、Alternate、Böttcher、Büroshop 24、Galaxus、Jacob、Kosatec、Maingau、Proshopなどさまざまだ。この中のいくつかはSeagate製品の正規取扱店でもある。 この問題の影響を受けているHDDは主にExosシリーズで、16TB (ST16000NM000JおよびST16000NM001G)、14TB (ST14000NM001G)、12TB (ST12000NM0127およびST12000NM0558)モデル、ほか、NAS向けの18TB、10TB、4TBモデルなどが報告されている。 これらのHDDを新品として購入した一部の読者は、本体に擦り傷などがあることに気づいた。また、SMART値には問題はなかったが、FARM値(Field Accessible Reliability Metrics)に問題があった。通常、ストレージの使用時間はSMART値で確認するだろう。しかし、FARM値を見れば本当の使用時間がわかる。私たちが読者から受け取ったデータにはFARM値が15,000時間や36,000時間、中には50,000時間を超えるものがあった。 一部の販売業者は、当該HDDの返品に応じた。もし、新品で購入したにもかかわらず、FARM値が異常なHDDだった場合は返品することをおすすめする。 FARM値は『smartmontools 7.4』で簡単に確認できる。このツールを実行して『Power on Hours』の項目を見れば良い。(※筆者注: 簡単と言っていますが、使い方は少しクセがあります。『smartmontools 7.4』をインストールしたらコマンドプロンプト(管理者として実行)を開いてください。FARM値を調べるには『smartctl -l farm /dev/sda』と入力してエンターを押してください。最後の文字の『a』は1番目のHDDを表します。最後の文字を『b』にすると2番目、『c』にすると3番目といった具合です。2番目のHDDのFARM値を調べたい場合は『smartctl -l farm /dev/sdb』と入力してエンターを押してください。なおこのコマンドはSeagateドライブしかサポートしていません。Seagate以外のストレージでやると「non-Seagate drives」と表示されます) または、Seagateのツール『SeaTools』でもFARM値を調べることができる。 いったいなぜ中古HDDが新品として流通しているのかは不明だ。Seagateはデータ保護上の理由から、この件に関する情報は提供できないという。 |
つまるところ、中古HDDのSMART値を初期化して、FARM値はそのままに、新品パッケージ等に換装して流通しているようです。どこの誰がこのような新品偽装を行っていて、どういう経路で市場に流れているのかははっきりとは判明していません。
今のところ、この報告はドイツでしか出ていませんが、Seagate製HDDを使用していて気になる方は調べてみてはいかがでしょうか。該当する場合、SMART値の使用時間とFARM値の使用時間が異なります。(SMART値の使用時間は『CrystalDiskInfo』を起動すれば表示されます)
筆者もSeagate製HDDを1台を持っているため(Exosシリーズではありませんが)、『smartmontools 7.4』を使用して『smartctl -l farm /dev/sdb』コマンドを実行してみましたが、『FARM log (GP Log 0xa6) not supported』と表示されました。つまり、残念ながら筆者のHDDはFARMに対応していませんでした。
『SeaTools』もインストールしてみましたが、FARMに対応していないからか、どこでFARM値が見られるのかわかりませんでした。
この被害に遭ったユーザーによると、『CrystalDiskInfo』のSMART値と、『smartmontools 7.4』のFARM値とでは『使用時間』(Power on Hours)に以下のような違いがあったとのこと。前者が『CrystalDiskInfo』、後者が『smartmontools 7.4』のスクリーンショットです。
問題のHDD
CrystalDiskInfoでは102時間と表示されている
FARM値の『Power on Hours』は21481時間を示している
『CrystalDiskInfo』の使用時間は102時間と表示されていますが、『smartmontools 7.4』のFARM値では21481時間と表示されています。これはひどい。
いったいなぜこんなことが起きているのでしょうか。本件について、Seagateは、ドイツメディアのComputerBaseを通じて以下のように述べています。
弊社(Seagate)は、これらのようなHDDを販売店に卸したり、流通させたりしていません。販売店は、弊社が認定するディストリビューションパートナーからのみ、弊社の新品HDD、またはリファービッシュHDDを入荷することを推奨します。 弊社の正規のリファービッシュHDDには緑色で縁取られた白いラベルと『Factory Recertified』という表記が記されています。もし、ラベルが疑われる場合は、弊社の倫理ホットラインにご連絡ください。 ― Seagate |
Seagate自身は上記のようなHDDを流通させていないとのこと。Seagateの言い分を信じるなら、入荷先か販売店が怪しい感じでしょうか。
本件はSeagate製HDDの信頼に大きく関わる問題です。大変かもしれませんが、Seagateにはいったいなぜこのようなことが起こっているのか原因を突き止めてもらって、本件の詳細や偽装品の見分け方などを公表してもらいたいところです。そうでないと、消費者は安心して購入できないでしょう。