Ryzen 7 9800X3Dが物理的に破損したとの報告。原因は

CPU

物理的に破損したRyzen 7 9800X3D

Ryzen 7 9800X3Dが物理的に破損したとの報告が出ています。

はじめに: 事の発端

これまで、MSIの『MAG X870 TOMAHAWK WIFI』マザーボードを使用してRyzen 7 9800X3Dが焼損したとの報告が2例出ています。

焼損したソケットAM5焼損したソケットAM5

焼損したRyzen 7 9800X3D
焼損したRyzen 7 9800X3D

2例中、1例目ユーザー自らが自身の過失(取り付けミス)の可能性が高いことを認めており、2例目は原因が判明していませんでした。これらの焼損報告を受けて、MSIは本件に関する調査を開始したことを2024年11月に発表しました。

そして、MSIは2025年1月付けで、調査結果を発表しました。MSIは以下のように述べています。

最近、MSI MAG X870 TOMAHAWK WIFIマザーボード環境においてAMD Ryzen 7 9800X3Dプロセッサーが損傷するという事例が2件報告されました。当社(MSI)は影響を受けたユーザーの1人に迅速に連絡を取り、使用状況に関する詳細な情報を伺うとともに、損傷したマザーボードとプロセッサーを回収して徹底的な検査を行いました。

調査の結果、CPUソケットが高温に達していた痕跡と、フレームに複数のくぼみがあることが確認できました。

複数にわたってシミュレーション実験を行った結果、当社は、プロセッサーが完全にソケットに固定されていなかったことがこの問題の原因ではないかと考えています。回路がショートして瞬間的に高温になり、CPUソケットのピンが高温になった痕跡を残したと考えられます。

2例目のケースはYouTubeチャンネルのGamers Nexusによって検証され、こちらもプロセッサーの不適切な取り付けによって引き起こされた可能性があると考えられています。

影響を受けたマザーボードの製造記録を確認したところ、CPUソケットは製造時点では正常で、AMDの基準を満たし、すべての関連テストに合格していたことを確認しました。

当社は、同様の問題が発生するリスクを最小限に抑えるため、CPUを取り付ける際には取り付けマニュアルの通りに行うことを推奨しています。当社製品に関するご質問やご不明な点がございましたら、MSIカスタマーサービスセンターにお問い合わせください。

AM5 CPUの適切な取り付け方法の詳細についてはこちらの動画をご覧ください。

MSI

MSIもGamers Nexusも、CPUの取り付けが不適切だったため、このようなことが起こったのではないかと結論付けています。

本題: Ryzen 7 9800X3Dの新たな物理的破損報告

本題です。Redditにて、また新たにRyzen 7 9800X3Dが物理的に破損したとの報告が出てきました。その写真がこちら。

物理的に破損したRyzen 7 9800X3D

物理的に破損したRyzen 7 9800X3D
物理的に破損したRyzen 7 9800X3D

以前の2例は『焼損』でしたが、今回は焼損ではなく、中央部分が小さくぷっくりと膨らんでいます。

この破損報告をしたのはRedditユーザーのRealistic_Age_718氏。Realistic_Age_718氏の使用マザーボードは、『MSI MAG X870E TOMAHAWK WIFI』。上記2例は『MSI MAG X870 TOMAHAWK WIFI』でしたが、Realistic_Age_718氏のものは『X870E』と、微妙に異なります。

ちなみにマザーボード側は無事で、AM5ソケットにも異常はなく、別のCPU (Ryzen 5 8500G)で起動もできました。

ソケットに異常なし起動も問題なし

Realistic_Age_718氏は以下のように述べています。

約4か月前にRyzen 7 9800X3Dが焼損したというスレッド(筆者注: 1例目のユーザーミスの件)がありましたが、これはCPUとソケットの位置がズレてショートしていたのが原因でした。

私のRyzen 7 9800X3Dも損傷しましたが、こちらにミスはありませんでした。CPUとソケットにズレはなく、正しく取り付けられており、十分に冷却されていました。マザーボードは正常に起動し、BIOSを最新のA33にアップデートし、Windowsのインストールも完了しました。しかし、EXPOを有効にしてから起動しなくなりました。POSTコード00が表示されます。

当初、BIOSの問題ではないかと疑われたため、A10へとフラッシュバックを行いましたがそれでもPOSTコード00が表示されました。そして、問題はCPUにあることが判明しました。(筆者注: 上記写真参照)

別のCPU (Ryzen 5 8500G)を取り付けたところ、正常に起動しました。つまり、Ryzen 7 9800X3Dだけが壊れたようです。

ハードウェア構成:

  • CPU: Ryzen 7 9800X3D
  • マザボ: MAG X870E TOMAHAWK WIFI
  • メモリ: G.Skill F5-6000J3040G32GX2-TZ5NR
  • CPUクーラー: NZXT Kraken Elite 360

約4か月前に起こったことと共通しているのはマザーボードです。これについてどう解釈したらいいのかわかりません。

― Realistic_Age_718

Realistic_Age_718氏は同じマザーボードと勘違いしていますが、前述のとおり、『X870E』と『X870』とで微妙に違います。

Realistic_Age_718氏は自身に過失がないことを主張しており、なぜこのようなことが起こったのか、詳細な原因は判明していません。

以下は筆者の推測で恐縮ですが、Realistic_Age_718氏の写真をよく見てみると、

CPUが削れた跡?
CPUが削れた跡?

ぼやけていてわかりにくいですが、赤丸の部分にCPUが削れたような跡が見えます。

これは1例目(取り付けミス)でも報告があったCPUとまったく同じ場所の傷跡です。

1例目: ユーザーミスによるCPUの傷跡
1例目: ユーザーミスによるCPUの傷跡

Realistic_Age_718氏はきちん取り付けをして、自身に過失がないことを主張していますが、この傷跡から察するに、取り付けミスがあったのではないかと推測されます。もちろん、これはあくまでも筆者の推測であることはご留意ください。

Zen5

Posted by にっち