第13~14世代CPUの不具合に対してIntelへの質問と回答。リコールはしない。KなしCPUへの影響を認める。保証期間の延長は?

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Intel Processor

先日、Intelは第13~14世代CPUが不安定になる不具合の原因を特定し、マイクロコードアップデートをリリースすることを発表しました。しかし、その発表は詳細な情報を欠いたものでした。

海外メディアのThe Vergeは、Intelにより詳細な情報を求めて質問をしました。Intelへの質問と回答が以下。

質問:
CPUの不具合によって回復不能な影響を受ける可能性のあるチップ数はどの程度と見込んでいますか?

Intelの回答:
第13世代および第14世代CoreデスクトッププロセッサーのK / KF / KS / 65W以上のKなしCPUは、電圧上昇問題の影響を受ける可能性があります。ただし、これらすべてのプロセッサーが影響を受けるというわけではありません。私たちは、この不具合に確実に対処するために検証を続けています。

第13~14世代デスクトッププロセッサーで不安定になる症状が発生しているお客様は、Intelカスタマーサポートへとご連絡いただき、サポートを受けるようお願いいたします。もし、この不具合が発生しているにもかかわらず、RMAリクエストが拒否された場合は、今一度、Intelカスタマーサポートへとご連絡いただき支援を受けるようお願いいたします。


質問:
Intelは第13世代および第14世代CPUのリコールを行いますか?

Intelの回答:
行いません。


質問:
IntelはCPU購入者に対して、不具合の兆候があることやアップデートが必要であることをどのようにして警告するのでしょうか?

Intelの回答:
私たちは2024年8月中旬またはそれよりも早くに、OEM / ODM向けにマイクロコードアップデートをリリースすることを目標に取り組んでいます。リリース時にマイクロコードパッチに関する追加情報を共有する予定です。

私たちはエンドユーザーのシステム上で影響を受けるプロセッサーを簡単に特定する方法がないか調査を行っています。暫定的なベストプラクティスとしては、最新のBIOSへとアップデートして、Intel Default Settingsを遵守することを推奨しています。


質問:
Intelはアップデートを検証する間、販売を停止したり在庫の回収を行ったりしていますか?

Intelの回答:
行っていません。


質問:
まだ明確な症状が発生していないものの、目に見えない劣化が起こっているCPUに対してこの修正が有効だと見込んでいますか? そういったCPUに対してはただの延命措置になるのでしょうか?

Intelの回答:
私たちはマイクロコードパッチがすでに使用されているプロセッサーに対する効果的な予防策になると確信していますが、問題に確実に対処するために検証を続けています。

私たちはエンドユーザーのシステム上で影響を受けるプロセッサーやリスクのあるプロセッサーを容易に特定するための方法を提供できないか調査を行っています。

マイクロコードパッチによって、現在影響を受けているプロセッサーの不安定性が改善される可能性はありますが、すでに不安定になっているお客様はIntelカスタマーサポートにお問い合わせください。


質問:
Intelは第13世代および第14世代CPUの保証期間を延長しますか?

Intelの回答:
<現時点では未回答>


質問:
ユーザーがRMAを行う際、この不具合が発生していると証明するのにどのような証拠を提示する必要がありますか?

Intelの回答:
<現時点では未回答>


質問:
第13世代の供給が終了した後、第13世代購入者に対してはどのようなサポートを行いますか?

Intelの回答:
私たちは第13世代または第14世代デスクトッププロセッサーで不安定になる症状が発生しているすべてのお客様が、交換プロセスを受けられるように取り組んでいます。リテールやチャネルとも協力してエンドユーザーの問題に対処いたします。


質問:
第14世代の供給が終了した後、第13世代購入者に対してはどのようなサポートを行いますか?

Intelの回答:
上記と同様です。


質問:
交換 / RMAを受けた場合、返送されるCPUは8月のマイクロコードアップデートが適用された状態のものが出荷されるのでしょうか?

Intelの回答:
OEM / ODMパートナーにマイクロコードパッチがリリースされた時点で、まだ出荷されていない第13~14世代デスクトッププロセッサーにマイクロコードを適用する予定です。すでに出荷されている分に関しては、BIOSアップデートによりマイクロコードを適用する必要があります。


質問:
マイクロコードアップデート前に、劣化を遅らせたり止めたりする方法があれば教えてください。

Intelの回答:
最新のBIOSへとアップデートしてIntel Default Settingsを遵守することを推奨しています。OEM / ODMパートナーにマイクロコードパッチがリリースされたら、このマイクロコードを含んだBIOSアップデートがないか確認することをおすすめいたします。


質問:
ミッションクリティカルな企業が、ビアが酸化したプロセッサーを交換できるように、該当するプロセッサーの具体的な製造日やシリアル番号の範囲を公開する予定はありますか?

Intelの回答:
私たちはビアの酸化についてお客様と協力して、交換プロセスで完全にサポートされるようにいたします。


質問:
モバイル・ノートPC向けCPUは不具合の影響を受けないと考えている理由はなんですか?

Intelの回答:
私たちは第13世代および第14世代プロセッサーが不安定になる不具合に適切に対処するために調査を継続しています。この調査には、モバイルプロセッサーがデスクトッププロセッサーと同じ不具合にさらされることを防ぐ要因を確認するための継続的な分析も含まれています。

[Source: The Verge]

ふわっとした回答が多いですが、いくつか注目点があります。

まず、影響範囲について。Intelは過去にこの不具合の影響を受けるCPUはK付きだけに絞った発言をしていましたが、今回、すべてではないもののTDP65W以上のKなしCPUにも影響があると認めました。つまり、Core i9-14900KやCore i9-13900KといったK付きだけでなく、Core i9-14900やCore i9-13900、Core i7-14700やCore i5-14600などにも影響する可能性があるようです。

次にマイクロコードの効果について。Intelは、マイクロコードを「予防策」と述べているほか、不具合の影響を受けた人に対してカスタマーサポートへと連絡するよう繰り返し案内しています。マイクロコードでCPUが直るのであればこのような発言はしないでしょう。つまり、マイクロコードはあくまでも今後の劣化を防ぐことを目的にしたものであり、すでに劣化したCPUを回復させる魔法のような効果はないようです。もし、本不具合の影響を受けている方は、BIOS設定等で一時しのぎをするのではなく、返品・交換をするのが最善の選択でしょう。

そして最後に保証と補償について。今回の質問でも保証期間についての明言はありませんでした。ユーザーを安心させるためにも、早急にこの部分を明確にすることが望まれます。

PC関連が好きで情報を追っている人であれば本件について知っているでしょうが、問題はそうでない人。本件のことを知らない人は大勢いるはずです。何も知らずに買ったときのまま使い続けて、保証期間が切れてから壊れる人が今後たくさん出てくるでしょう。

そういった人たちも適切なサポートが受けられることを強く望みます。