0x114マイクロコードでゲーム性能が17%低下との報告。Core Ultra 9 285K環境にて。CapFrameX作者がお怒り [Update 1]

CPU

Intel Core Ultra

Intel Core Ultra 200SシリーズデスクトップCPU環境に0x114マイクロコードBIOSをインストールすると、ゲームパフォーマンスが大幅に下がったとの報告が出ています。

更新履歴 [記事初公開日: 2024/12/31]
① CapFrameX作者が使用したマザーボードとBIOSが判明しました。ASRock Z890I Nova WiFi環境で、0x114マイクロコードとIntel ME 19.0.0.1854 v2.2を含んだ2.23.AS03[Beta]BIOSを使用しています。記事内にその旨記載・若干改訂。 [2025/1/1] [New]

最初に

Intelは、Core Ultra 200Sシリーズ(コードネーム: Arrow Lake)のゲーム性能が環境によっては想定よりも低くなる問題を特定したとして、複数の方法でこの問題を修正することをアナウンスしています。

問題のほとんどはWindows Updateを実行して2024年10月25日以降の更新プログラムを適用するだけで解決しており、ユーザー側で行う最後の対処として、0x114マイクロコードとIntel CSME Firmware 19.0.0.1854 v2.2 (Intel ME 19.0.0.1854 v2.2)を含んだBIOSアップデートをマザーボードに適用することで改善・解決するとされています。

以上がIntelの言い分です。

BIOSアップデートは2025年1月に公開予定とされていますが、0x114マイクロコードを含んだBIOSやIntel ME 19.0.0.1854単品はすでに公開されています。

0x114マイクロコードを適用してゲーム性能を測定した結果

0x114マイクロコードと、最新のIntel MEを適用するとどうなるのでしょうか。フレームレート測定・フレームタイム分析アプリ『CapFrameX』の公式X (旧Twitter)アカウントは以下のポストをしています。

CapFrameXのポスト


Arrow Lakeパフォーマンスパッチについて。

最新BIOS + MC + MEでパフォーマンスが大幅に低下しました、メモリのレイテンシ(遅延)も69nsから80nsへと増加しました。もう我慢の限界です。

(※筆者注: 1つ目のポストにAlderと書かれているのはタイプミスです)

CapFrameX作者は、ASRock Z890I Nova WiFi環境に0x114マイクロコードとIntel ME 19.0.0.1854 v2.2を含んだ2.23.AS03[Beta]BIOSを使用して検証しました。

CapFrameX作者によると、Core Ultra 9 285K環境において、0x113マイクロコード時と、0x114マイクロコード時では、サイバーパンク2077で以下のフレームレート差が生じたとのこと。

サイバーパンク2077 | 0x113: 141.8 fps / 0x114: 117.6 fps
サイバーパンク2077
0x113: 141.8 fps / 0x114: 117.6 fps

0x113時はAvg 141.8 fps出ていたところ、0x114にしてから117.6 fpsへと低下したと報告しています。0x114にしてから約17%もフレームレートが低下しています。

それだけではなく、AIDA64で測定したところ、メモリのレイテンシも69nsから80.7nsへと上がったとのこと。

Core Ultra 9 285K: メモリレイテンシ80.7ns
Core Ultra 9 285K: メモリレイテンシ80.7ns

これらの結果から、CapFrameX作者は自身のCore Ultra 9 285K環境に対して「我慢の限界」と怒りをあらわにしています。

留意点として、すべての環境でこのようなパフォーマンスの低下が見られるわけではありません。海外メディアのTechPowerUpもCore Ultra 9 285K環境でゲーム性能のテストを行ったところ、0x113も0x114もフレームレートに顕著な違いは見られませんでした。(Intelの言うところの改善も見られませんでした)

そのリザルトが以下。

Core Ultra 9 285K | Alan Wake 2: 0x113 vs. 0x114
Alan Wake 2: 0x113 vs. 0x114

Core Ultra 9 285K | バルダーズゲート3: 0x113 vs. 0x114
バルダーズゲート3: 0x113 vs. 0x114

0.1 fps単位でほんのわずかな差があったりなかったりするものの、誤差の範囲内と言って問題ありません。いったいなぜCapFrameX作者のテストでは17%ものフレームレートの低下が生じているのかは不明です。

いずれにしても、もし、CapFrameX作者のように0x114へとアップデートして、パフォーマンスの低下が見られた場合は0x113へとロールバックすることをご検討ください。

まだIntelの言う公開予定日ではない

IntelはCore Ultra 200Sシリーズのゲーム性能改善BIOSを2025年1月に公開予定としています。まだその期日ではありません。

例えば、ASUSがすでに公開しているZ890マザーボード用BIOS(バージョン 1203)に0x114マイクロコードは含まれているものの、Intel MEのバージョンは19.0.0.1827です。改善が含まれる19.0.0.1854 v2.2ではありません。TechPowerUpは、このASUSのBIOSにIntel ME 19.0.0.1854単体を手動で適用しています。また、この単体版Intel ME 19.0.0.1854のバージョンがいくつなのか(v2.2なのか)は明示されていません。

CapFrameX作者が使用したBIOSには0x114マイクロコードとIntel ME 19.0.0.1854 v2.2が含まれているものの、まだベータ版(ASRock Z890I Nova WiFi用2.23.AS03 (Beta)BIOS)です。

これらのことから、まだ改善が完璧な状態になっていないということも考えられます。そのため、今後のBIOSアップデート次第では改善されるかもしれません。改善の有無について結論を出すのは、もうしばらく待つべきでしょう。

また、覚えておいて欲しいのは、Core Ultra 200Sシリーズ自体、元々ゲーム性能は第14世代Core以下です。ただし、その分、省電力性に優れています。以下のIntel公式スライドをご覧ください。

Core Ultra 9 285K vs. Core i9-14900K

Core Ultra 9 285K vs. Core i9-14900K
Core Ultra 9 285K vs. Core i9-14900K

これがIntelが当初から想定している(Intel内部テストでの)Core Ultra 9 285Kのゲーム性能です。Core Ultra 9 285KはCore i9-14900Kよりも平均fpsがわずかに低いものの、システム全体の消費電力は平均して80W低くなっていることをアピールしています。

しかし、環境やメディアのレビューによっては上記のゲーム性能に到達しませんでした。今、Intelがやっていることは、どんな環境でも上記のゲーム性能を得られるようにしようと取り組んでいます。

ArrowLake

Posted by にっち