Intel第13~14世代CPUが破損・劣化する不具合の続報
Intel第13~14世代CPUが破損・劣化する不具合の続報が入りました。
更新履歴 [記事初公開日: 2024/4/21] ① まだ原因がハッキリしていないため、表現を変え、記事内容・タイトルを改訂しました。 [2024/4/21] [New] |
事の発端
Intelの第13世代Core 13000シリーズ(Raptor Lake)や第14世代Core 14000シリーズ(Raptor Lake Refresh)を使用していると、数か月後くらいに突然不安定になって、ゲームがクラッシュしたり、「Out of video memory trying to allocate a rendering resource」(レンダリングリソースを割り当てようとしているビデオメモリが不足しています)というエラーが表示される不具合が発生しています。
この不具合の原因はCPUで、CPUの電力、電流、電圧、動作クロックのいずれかを下げることで不具合を一時的に回避できます。(もちろん、パフォーマンスも下がります) この不具合を根本的に直すにはCPUの交換しかなく、この不具合が発生するということはCPUが破損している・劣化している・ダメージを負っていることを意味します。なぜこのような不具合が数か月経ってから発生するのか、原因はまだ判明していません。事の発端については以下の記事をご覧ください。
ASUSの対応
ASUSは、2024年4月19日付けでこの不具合に対処したIntel 700シリーズマザーボード用BIOSアップデートを公開しました。
リリースノートには以下のように記されています。
このアップデートにより、『Intel Baseline Profile』オプションが導入され、ユーザーは基本機能をIntelの工場出荷時のデフォルト設定に戻すことができます。これにより、より低い電力制限になり、特定のゲームの安定性が向上します。 このBIOSアップデートを行うと、Intel MEも同時に16.1.30.2307へとアップデートされます。このBIOSアップデートを行うと、BIOSをロールバックしてもIntel MEのバージョンは新しいままになります。 ― ASUS |
ASUSによると、『Intel Baseline Profile』オプションを使用して、Intelの定めたデフォルトの設定へと戻すことで、消費電力が下がり、ゲームの安定性が向上するとのこと。
このASUSの発表で、非常に重要なことがわかりました。ASUSはこれまで、Intelが定めたデフォルトの設定を使用していなかったことが明らかになりました。
ダメージを負ったCPUが直っているわけではない。原因も未解明のまま
ASUSの対策BIOSを使用すれば、ゲームの安定性が向上するのかもしれませんが、ダメージを負ったCPUが直っているわけではありません。
そして、最初のうちは正常に動作していたものが、なぜ、数か月経ってから不安定になるのか(『Intel Baseline Profile』オプションの適用が必要になるのか)、その原因もいまだ未解明です。考えられる可能性を挙げてみましょう。
- LGA1700 CPUは時間が経つと物理的に曲がるため、それが悪影響を及ぼしている可能性。ただ、それが原因なら、多くの人が該当するため、もっと阿鼻叫喚になっていそうな気がします。また、当サイトに、反り防止ソケットを使用していてもこの現象が発生したとの報告が寄せられています。
- マザーボードメーカーがIntelの定めたデフォルトの設定を使用しなかったため、過剰に電圧等が盛られてCPUにダメージが蓄積して破損・劣化にいたっている可能性。「電圧を盛ったくらいで、CPUが破損したり劣化するなんてある?」と思うかもしれませんが、昨今ではAMDのRyzenでSoC電圧を盛りすぎるとCPUが破損するなんてこともあったため、この可能性も考えられます。
現時点では何が原因かはハッキリせず、断定することはできません。Intelによると、現在、この不具合を調査中とのことです。