史上最も危険なCPUクーラー『Danamics LMX』。ヒートパイプ内にNaKを充填。漏れると発火や爆発の恐れ
発火や爆発の危険性があるCPUクーラーが存在する模様です。海外メディアのTom’s Hardwareが報じました。
ドイツのオーバークロッカーであるder8auer氏が『史上最も危険なCPUクーラー』を紹介した。それが2009年に発売されたDanamics社の『Danamics LMX』だ。 一般的なCPUクーラーであればヒートパイプには純水やフロンが充填されているが、このCPUクーラーには液体金属が充填されている。液体金属といっても、PC界隈でよく使用されるガリウム・インジウムベースのものではない。ナトリウムカリウム合金(NaK)の液体金属が入っているのだ。 知らない人のために説明すると、ナトリウムカリウム合金は空気や水との接触で発火や爆発が起こる非常に危険な液体金属だ。どうなるかは以下の動画を見てほしい。 Danamics LMXは少々複雑な設計をしており、液体金属を循環させるためのポンプが一体型になっている。der8auer氏によると、ナトリウムカリウム合金自体の熱伝導率は水の30倍にもなるが、このような水冷と同様の仕組みであれば、熱伝導率が高くなくても熱容量の大きい水の方が優れているという。 der8auer氏はDanamics LMXの冷却性能も検証した。Noctuaの空冷CPUクーラーNH-U12Aとの比較が以下だ。
Cinebench R23を回したところ、NH-U12Aの方が5~6℃ほど低い温度を示した。 [Source: Tom’s Hardware] |
der8auer氏は「万が一、このCPUクーラーを落として、ヒートパイプに亀裂が入って中の液体金属が漏れようものなら、最悪、火災へと発展する恐れがあります。私は動画の撮影が終わったらこのCPUクーラーを処分します」と述べています。
ヒートパイプの中身を液体金属にするという発想はおもしろいですが、なぜこんな危険なものを採用してしまったのでしょうか。
余談ですが、Danamics社はDanamics LMXを発売した翌年の2010年に廃業しています。また、Danamics LMXの国内での取り扱いはありません。