ASUS、グラボのコネクタが削れる件についてアナウンス。『PCIe Slot Q-Release Slim』の不具合。ASUSの回答は

マザーボード

『PCIe Slot Q-Release Slim』のせいでコネクタ部分の基板が削れたグラボ

ASUSは、同社製マザーボードにグラボの取り付け・取り外しを繰り返すと、グラボのコネクタ部分が削れる不具合について、Redditを通じてアナウンスを行いました。

事の発端

一部のASUS製マザーボードには『PCIe Slot Q-Release Slim』というグラボの取り付け・取り外しを楽に行える機能が搭載されています。この機能は、グラボをスロットに取り付けると自動的にロックがかかり、取り外す際はグラボ左側部分(PCIeブラケット側)から斜めに引っ張れば簡単に外れるというものです。

しかし、この機能のせいで、グラボのコネクタ部分の基板が削れるということが問題になっています。以下の画像のように。

『PCIe Q-Release Slim』により削れたグラボ

『PCIe Q-Release Slim』により削れたグラボ

この問題に関する詳細については以下の記事をご覧ください。

  ASUS製マザーボードにグラボが損傷する不具合。コネクタ部分が削れる。『PCIe Slot Q-Release Slim』が原因

ASUSのアナウンス

この問題について、ASUSはRedditにて以下のアナウンスを行いました。

▼ASUS北米における『PCIe Slot Q-Release Slim』に関する声明と追加情報

弊社(ASUS)は最近、グラフィックスカード(グラボ)の取り付け・取り外しを簡素化するために『PCIe Slot Q-Release Slim』という機能をマザーボードに導入しました。この機能により、グラボがしっかりとロックされて誤って抜けないようになり、取り外す際はスムーズに行えます。また、PCIeスロットにロック機構と金属補強が加えられたため、強度が向上しています。

正しい取り付け・取り外し方法はマザーボードのマニュアルやパッケージに記載されています。(以下の画像参照)

『PCIe Slot Q-Release Slim』取り付け・取り外し方法
『PCIe Slot Q-Release Slim』
取り付け・取り外し方法

このガイドライン通りに行えば、通常の使用頻度であれば(グラボに)使用痕が残るだけです。『PCIe Slot Q-Release Slim』はグラボの取り外しがはるかにシンプルで簡単になっているため、何かしらの工具を使用せずに取り外すことができます。(スライドタイプやプッシュタイプでロックするPCIeスロットの場合、)工具を使用してグラボの取り外しを行うと、PCIeスロットやマザーボード、グラボに当たって損傷する可能性があります。『PCIe Slot Q-Release Slim』により、こういったことを避けられます。

報告されたごく少数のケースに基づいて社内でテストおよび評価したところ、マザーボードやグラボの機能、パフォーマンスに影響を及ぼすような損傷は起こりませんでした。しかし、どのようなPCIeカードであっても、60回も取り付け・取り外しを行うと使用痕や磨耗が発生することはお伝えいたします。また、取り付けや取り外しを弊社推奨の方法で行わないと、磨耗や傷つく可能性が高くなります。それにもかかわらず、グラボやマザーボードの機能には影響がないことが確認されています。

現在、『PCIe Slot Q-Release Slim』を採用した弊社のマザーボードを使用されている方は、特に心配する必要はありません。公式のガイドライン通りに取り付け・取り外しを行えば、潜在的な損傷を避けることができます。過度な力を加えず、最小限の力で取り外してください。

万が一、具体的な問題や異常が発生した場合は、弊社が責任を持ってご対応いたします。サポートについては、ASUSカスタマーサービスまでご連絡ください。

▼追加情報 / Q&A

Q.)
『PCIe Slot Q-Release Slim』の使用に関する推奨事項はありますか?

A.)
マザーボードのサポートページやマニュアルをご覧ください。

『PCIe Slot Q-Release Slim』の推奨事項

Q.)
『PCIe Slot Q-Release Slim』の改善や変更に取り組んでいますか?

A.)
グラボを弊社推奨の方法で取り付け・取り外しを行えば問題は発生しないはずです。しかし、リスクを軽減するために、正しい取り付け・取り外しに関する詳しく説明したチュートリアルを追加する予定です。さらに、Q-Designの実装に関する研究開発も続けてまいります。

Q.)
なぜ、設計、開発、検証の段階でこの問題に気づかなかったのでしょうか?

A.)
弊社のテストでは業界のPCIeスロット基準をクリアしており、40回の取り付け・取り外しテストでも異常は確認されませんでした。一部の外部テストでは、誤った方法で60回の取り付け・取り外しにより磨耗が進み、使用痕が目立つことがあります。誤った角度や過度な力が加わるとさらに傷がつくことがありますが、グラボやマザーボードの機能に影響はありません。

Q.)
『PCIe Slot Q-Release Slim』の耐久性テストはどのようにして行われましたか?

A.)
実施した耐久テストは以下のものが含まれます。

  • チャンバー内の温度と湿度のテスト 
  • XYZ軸に沿った振動テスト
  • 最大50Gの衝撃テスト
  • インストールテスト
  • -40℃から85℃まで約48時間にわたる熱衝撃試験
  • スロットへの40回の取り付け・取り外しテスト(業界標準は25回)

これらのテストにより、グラボに使用痕が残ることはありますが、グラボにもマザーボードにも損傷はなく、機能にも影響はありませんでした。

Q.)
『PCIe Slot Q-Release』(非Slim)でこの問題に関する報告や事例はありますか?

A.)
Slimではない第1世代の『PCIe Slot Q-Release』での報告や事例は認識していません。

その他、ご質問やご不明点がある場合は、こちらのスレッドに書き込んでいただけましたらできるかぎりお答えいたします。質問内容によってはカスタマーサポートにお問い合わせいただいた方が適切な場合もあります。

― ASUS

以上がASUSの公式発表になります。長く、非常に回りくどい言い方ですが、一応は『PCIe Slot Q-Release Slim』に起因してグラボのコネクタが削れることを認めた感じでしょうか。そして、結論としては「削れても動作するから問題なし、ヨシ!」といった感じですね。はたして、この発表でグラボのコネクタが損傷・削れてしまった人たちは溜飲が下がるのでしょうか。

この発表に納得がいかない場合や、グラボに深刻なダメージを負っている場合は、ASUSへとお問い合わせください。

Posted by にっち