Ryzen 7000X3Dシリーズが破損する原因が判明か。ASUSが声明を発表

マザーボード

破損したRyzen 7000シリーズCPU

ASUSは、AMD Ryzen 7000X3DおよびRyzen 7000シリーズが焦げて破損する問題および古いBIOSを削除した件について、ドイツのオーバークロッカーder8auer氏のYouTubeチャンネルを通じて以下の発表をしました。

更新履歴 [記事初公開日時: 2023/4/25 PM22:44]
① 確定と言うには早かったため、記事タイトルおよび内容を一部改訂しました。 [2023/4/25 PM23:28]

ASUSの声明

金曜日(2023年4月21日)に掲載したBIOS / EFIアップデートには、ボードとCPUを保護するために実装された専用のサーマルモニタリングメカニズムが含まれています。以前のBIOSビルドでは手動でのVcoreの制御が可能だったため、古いBIOSを削除しました。また、AMD EXPOとSoC電圧の新しいルールを定義するために、AMDと協力しています。こちらについては早急に新しいアップデートをリリースする予定です。

2023年4月21日付けのBIOSには、MSIと同様に、Ryzen 7000X3Dシリーズにおける手動での電圧制御に制限が施されている模様です。また、古いBIOSを削除した件については、手動での電圧制御が可能なためとされています。

気になる一文としては「AMD EXPOとSoC電圧の新しいルールを定義するために、AMDと協力しています」というこの点。ASUSの発表だけでは情報が足りないためいまいちピンときませんが、ドイツメディアのi’gorsLABのフォーラムにこの発表を補足するかのような以下の投稿があります。

AMDが指定するEXPOのパラメーターに起因しています。ASUSとGigabyteは新しいX3D CCDを考慮することなく、1:1で実装しています。通常のRyzen 7000シリーズは高い電圧に耐えられますが、Ryzen 7000X3Dシリーズは耐えられないため破損に至ります。

EXPOが有効になるとCPU SOC、CPU VDDIO / MC、CPU VDDCR SOCの電圧が1.36 ~ 1.4Vへと上昇します。場合によっては1.5VでWindowsが起動することもあり、過電圧に弱いRyzen 7000X3Dシリーズであれば即死しかねません。すべての電圧を手動で正しい値に設定すれば問題はありません。

EXPOを有効にしていると電圧を盛られてしまい、特に過電圧に弱いRyzen 7 7800X3DやRyzen 9 7950X3Dといった3D V-Cacheを搭載したRyzen 7000X3Dシリーズは破損のリスクがあると言われています。

上記内容はあくまでも一ユーザーのimpi182氏による投稿ですが、ASUSの発表と照らし合わせるとCPUが破損する原因はこの可能性が高いかもしれません。実際、これまでの破損報告ではCPUのオーバークロックはしていないものの、メモリはEXPOを使用しているという報告が出ていました。

また、Ryzen 7000X3Dシリーズだけでなく、3D V-Cacheを搭載していない通常のRyzen 7000シリーズであっても、定格よりも高い電圧が盛られることに変わりはないため注意が必要です。(DDR5-5800使用環境でRyzen 7 7700Xが破損したという報告も出ています)

上記投稿ではASUSとGigabyteだけに言及されていますが、impi182氏の言うようにEXPOに起因しているのであれば他社製マザーボードでも起こりうると考えられます。

まだ確定したわけではありませんが、現状、Ryzen 7000X3D / Ryzen 7000シリーズでEXPOを有効にしている方はご注意ください。詳細が発表されるまでは無効にしておくことを強く推奨いたします。