Radeon RX 9070 XT / RX 9070のゲームベンチマーク公開!ネイティブ性能はGood。FSR 4は?
海外メディアのTechPowerUpにより、AMD Radeon RX 9070 XTおよびRadeon RX 9070のゲームベンチマークが公開されました。そのリザルトがこちら。
仕様
Radeon RX 9070 XT | Radeon RX 9070 | |
アーキテクチャ | RDNA 4 | RDNA 4 |
Process Node | 4nm (TSMC N4P) | 4nm (TSMC N4P) |
Compute Units | 64 | 56 |
Stream Processors (SP換算) | 4096 | 3584 |
RT Accelerators | 64 | 56 |
AI Accelerators | 128 | 112 |
Boost Clock | 2970MHz | 2520MHz |
VRAM | 16GB GDDR6 20Gbps 256-bit 640GB/s | 16GB GDDR6 20Gbps 256-bit 640GB/s |
消費電力 (TBP) | 304W | 220W |
希望小売価格 | $599 | $549 |
発売日 | 2025年 3月6日 | 2025年 3月6日 |
テスト環境
テスト環境
- CPU: Ryzen 7 9800X3D
- メモリ: 32GB (16GB x2) DDR5-6200 28-36-36-76 UCLK 1:1
- マザーボード: MSI X870E Carbon Wi-Fi
- グラボ:
- Sapphire NITRO+ AMD Radeon RX 9070 XT GPU
- 注: 本製品はOCモデルです。ベースクロックが120MHz、ブーストクロックが90MHz、リファンススペックより高くなっていることはご留意ください。
- ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070 OC Edition
- 注: 本製品はOCモデルです。ベースクロックとブーストクロックがリファンススペックより100MHz高くなっていることはご留意ください。
- Sapphire NITRO+ AMD Radeon RX 9070 XT GPU
- Resizable BAR: NVIDIA、AMD、IntelのグラボすべてでResizable BAR有効
- 使用OS: Windows11 Pro 24H2 (VBS有効、デフォルト設定)
前置き: FSR 4 vs. DLSS 4について (長いですがとても重要なので是非読んでください)
NVIDIAのDLSS 4 Multi Frame Generation (MFG)の凄さについては、多くの人がご存知でしょう。一応復習として、どれくらいの凄さかと申しますと、以下のような具合です。
Multi Frame Generationを有効にしたGeForce RTX 5070 Tiと、普通のFrame Generationを有効にした前世代のGeForce RTX 4070 Tiとでは、ゲームタイトルによって2倍ものフレームレート差が生じるほど、圧倒的な差があります。
そして、NVIDIAのこの機能に対してAMDも黙っていませんでした。AMDはRadeon RX 9000シリーズを発表した際にFSR 4の凄さをアピールしたスライドを公開しました。それがこちら。
上記スライドは、『ネイティブ性能』『FSR 4 Upscaling』『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』での比較です。『ネイティブ性能』と『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』を比較すると非常に大きな差があります。
そこで気になってくるのが、「FSR 4とDLSS 4、どちらがすごいの?」という部分です。
両機能を最大限に活用した『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』と『DLSS 4 Super Resolution + Multi Frame Generation』とでは、いったいどちらに軍配が上がるのでしょうか。
結論を申しますと、その対決を行っているベンチマークを筆者には見つけられませんでした。
さまざまなレビューを見ましたが、この対決は行われていませんでした。というのも、FSR 4とDLSS 4両方に対応しているゲームが全然ありません。NVIDIAが公開しているDLSS 4対応リストと、AMDが公開しているFSR 4対応ゲームをざっと見比べた限りでは『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』『真・三國無双 ORIGINS』くらいしか見つけられませんでした。ほかにもあるかもしれませんがとにかく少ない状況です。
これらのゲームで対決しているレビューがあれば、とも思いましたが、本記事執筆時点では見つけられませんでした。非常に残念ですが、『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』と『DLSS 4 Super Resolution + Multi Frame Generation』との対決に関しては、今後、両機能に対応したタイトルが増えてくるまでお預けとなりそうです。
そしてもう1点、重要なことがあります。FSR 4はFSR 3より重い、ということです。例えば『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』では、Digital Foundryによると、FSR 4はFSR 3より平均8%低いフレームレートだったとのこと。
同様の報告はDigital Foundryだけでなく、HardwareluxxやPC Watchなどからも出ています。
FSR 4 + Frame GenerationはFSR 3 +Framegenerationより低fps
いったいどういうことなのかと申しますと、フレームレート低下の代償として、FSR 4では画質が向上しています。
例えば以下の画像をご覧ください。
FSR 3.1 (左)とFSR 4 (右)を比較した場合、FSR 3.1ではスカートの部分がのっぺりしているのに対して、FSR 4ではテクスチャが細かく表示されています。鞘の部分のベルトもFSR 4の方がギザギザ感が少なく滑らかです。(ちなみにですが、Digital Foundryの動画ではFSR 3.1 / FSR 4 / DLSS CNN / DLSS TRANSFORMERの画質比較も行われています。DLSSとの画質差に興味ございましたら是非動画をご覧ください。英語ですが映像だけで十分にわかります。結論だけ言えば、DLSS TRANSFORMER > FSR 4 > DLSS CNN > FSR 3.1といった具合です)
AMDがRadeon RX 9000シリーズを発表した際に公開したスライドは、FSR 4でこれまで以上(FSR 3以上)にフレームレートが向上するのではないか、と期待させるようなスライドでしたが、実際のところはFSR 4では画質向上に重点が置かれているようです。
そして、筆者の推測で恐縮ですが、おそらく、『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』と『DLSS 4 Super Resolution + Multi Frame Generation』とで対決を行えば、後者の方が高フレームレートな結果になるのではないかと思われます。これまでのところ、『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』が『DLSS 4 Super Resolution + Multi Frame Generation』以上にフレームレートを出せる理由が見当たりません。もし、『DLSS 4 Super Resolution + Multi Frame Generation』を超えるフレームレートを出せるのであれば、AMDならその部分を大々的にアピールしていると思います。しかし、そのようなアピールも、比較・レビューも見当たりませんでした。
非常に長い前置きとなりましたが、上記理由により、『FSR 4 Upscaling + Frame Generation』と『DLSS 4 Super Resolution + Multi Frame Generation』の比較はなく、以下のベンチマーク結果はすべてネイティブゲーム性能でのベンチマーク結果となります。
Radeon RX 9070 XT → Radeon RX 9070の順番になります。
Radeon RX 9070 XT: ゲームベンチマーク
Alan Wake 2
アサシンクリード ミラージュ
サイバーパンク2077
ELDEN RING (エルデンリング)
Starfield
バルダーズゲート3
黒神話:悟空
Radeon RX 9070 XT: 25タイトルでの平均フレームレート
▼ 1920 x 1080
▼ 2560 x 1440
▼ 3840 x 2160
Radeon RX 9070: ゲームベンチマーク
Alan Wake 2
アサシンクリード ミラージュ
サイバーパンク2077
ELDEN RING (エルデンリング)
Starfield
バルダーズゲート3
黒神話:悟空
Radeon RX 9070: 25タイトルでの平均フレームレート
▼ 1920 x 1080
▼ 2560 x 1440
▼ 3840 x 2160
(Source:TechPowerUp 1 / 2)
まとめ
Radeon RX 9070 XT
Radeon RX 9070 XTの25タイトルの平均フレームレートは、1080pが177.1 fps、1440pが135.5 fps、4Kが79.5 fpsです。競合とされるGeForce RTX 5070 Tiとの比較が以下。
▼RX 9070 XT vs. RTX 5070 Ti ネイティブ性能
- 1080p: 平均-3.5%
- 1440p: 平均-3.5%
- 2160p: 平均-4.9%
Radeon RX 9070 XTはGeForce RTX 5070 Tiより、3.5~4.9%低いネイティブ性能となります。米国での両製品の価格は、Radeon RX 9070 XTが599ドル、GeForce RTX 5070 Tiが749ドルです。Radeon RX 9070 XTの方が150ドル安く、この性能差であれば、Radeon RX 9070 XTは魅力的です。ただ、これはあくまでも米国での販売価格の話です。
GeForce RTX 5070 Tiの実売価格は最安値で税込162,980円からとなります。NVIDIA希望小売価格は税込148,800円ですが、日本国内ではこの価格では販売されませんでした。
ではRadeon RX 9070 XTの国内販売価格はどうでしょうか。残念ながら本記事執筆時点ではまだ判明していません。少なくともGeForce RTX 5070 Tiの実売価格よりは安くなることが期待されます。
Radeon RX 9070
Radeon RX 9070の25タイトルの平均フレームレートは、1080pが159.2 fps、1440pが119.4 fps、4Kが69.5 fpsです。競合とされるGeForce RTX 5070との比較が以下。
▼RX 9070 vs. RTX 5070 ネイティブ性能
- 1080p: 平均+2.9%
- 1440p: 平均+4.5%
- 2160p: 平均+5.6%
Radeon RX 9070はGeForce RTX 5070より、2.9~5.6%高いネイティブ性能となります。米国での価格はRadeon RX 9070が549ドル、GeForce RTX 5070も549ドルです。米国においてRadeon RX 9070は、GeForce RTX 5070と同価格で高いネイティブ性能を有しています。
国内価格はと申しますと、GeForce RTX 5070のNVIDIA希望小売価格は税込108,800円で『アリバイ価格』モデルが1製品だけ販売されていますが、その他の実売価格は約12万円からとなっています。(※アリバイ価格とは、初回時に一部メーカー製品をごく少量だけ希望小売価格で販売して安く見せかける行為。実際に希望小売価格(アリバイ価格)で購入できる人はほとんどいない)
Radeon RX 9070 XTと同様に、Radeon RX 9070の国内価格も本記事執筆時点では不明です。
総評
国内販売価格がわからないため評価をするのは難しいですが、Radeon RX 9070 XTはGeForce RTX 5070 Tiに、Radeon RX 9070はGeForce RTX 5070に競合するネイティゲーム性能を有していることは確かです。
で、ここまではネイティブゲーム性能の話です。
冒頭の『前置き』でも触れましたが、『DLSS 4 Multi Frame Generation』を考慮した場合はどうでしょうか。この機能は本当に強力で、対応ゲームであればフレームレートの伸びが尋常ではありません。
Radeon RX 9070 XTおよびRadeon RX 9070をおすすめできるかどうかは、実売価格次第と、『DLSS 4 Multi Frame Generation』を使いたいか、使う気がないかによって大きく変わってきます。
もし、『DLSS 4 Multi Frame Generation』を使いたいのであればGeForce RTX 5000シリーズ一択です。しかし、『DLSS 4 Multi Frame Generation』に興味がない人であれば、販売価格次第ではRadeon RX 9000シリーズも選択肢に入ってくるでしょう。
ポイントは『販売価格』と『DLSS 4 Multi Frame Generationを使いたいかどうか』、この2点だと思います。