AMD、Ryzen 9000シリーズのさまざまな性能向上を正式発表

CPU

AGESA PI 1.2.0.2 BIOSアップデート

AMDは、Ryzen 9000シリーズのさまざまな性能向上について正式に発表しました。

CCD間レイテンシの改善や、TDP105Wモードなど、Ryzen 9000シリーズのパフォーマンス向上に関するアップデートは色々ありましたが、これまで、AMDからちゃんとした発表はありませんでした。今回、AMDは、Ryzen 9000シリーズのパフォーマンス向上について正式に発表を行いました。

TDP105Wモード

Ryzen 7 9700XおよびRyzen 5 9600XのデフォルトTDPは65Wですが、新たに、AM5マザーボードのBIOSアップデートで実装されたTDP105Wモード(『TDP to 105W』や『cTDP to 105W』などとも呼ばれる)を使用することで、文字通りに最大TDP105Wで動作します。

結果、Ryzen 7 9700Xにおいては最大10%パフォーマンスが向上するとされています。

TDP105Wモードにすると最大10%パフォーマンスが向上
TDP105Wモードにすると最大10%パフォーマンスが向上

ただし、TDPが上がるということは当然CPU温度も高くなるため、適切なCPUクーラーを使用するようAMDは注意を促しています。

なお、TDP105Wモードを使用してもCPUの保証が無効になることはありません。有効のままです。

CCD間レイテンシの改善

前世代のRyzen 7000シリーズ、例えばRyzen 9 7950XのCCD間のレイテンシ(遅延)は約76nsでした。しかし、Ryzen 9000シリーズではなぜかこのCCD間のレイテンシが大幅に増加しており、Ryzen 9 9950Xの場合だと平均180nsと、倍以上遅くなっていました。

AMDは、AGESA PI 1.2.0.2 BIOSアップデートでこの問題に対処し、Ryzen 7000シリーズと同等(平均75ns程度)のレイテンシへと改善しました。

AMDによると、このアップデートによりMetro、Starfield、ボーダーランズ3、3DMark Time Spyなどでパフォーマンスの向上が見られたとのことです。

CCD間レイテンシを改善
CCD間レイテンシを改善

分岐予測の最適化はすでに実装済み

Ryzenシリーズのゲームパフォーマンスを向上させる『分岐予測の最適化』がWindows11に実装されています。この最適化を利用するために特に難しいことはなにもなく、ただ、Windows Updateを実行するだけです。

Windows11に『分岐予測の最適化』を実装
Windows11に『分岐予測の最適化』を実装

『分岐予測の最適化』がちゃんと実装されているかどうかは、Windows11の『設定』 → 『システム』 → 『バージョン情報』をご覧ください。Windows11 23H2であればOSビルド 22631.4112以上、Windows11 24H2であればOSビルド 26100.1301以上になっていれば実装・適用されています。

(Windows11 23H2は2024年8月28日公開のプレビューリリースKB5041587以降をインストールしていれば実装されています)

この『分岐予測の最適化』により、平均10%前後のゲームパフォーマンスの向上が報告されています。これはRyzen 9000シリーズだけでなく、Ryzen 7000シリーズやRyzen 5000シリーズといったZen 4 / Zen 3世代にも効果があるとされています。

DDR5-8000メモリをサポート

最後に、先日発売されたX870E / X870マザーボードの紹介として、これらのマザーボードではDDR5-8000 EXPOメモリがサポートされているとのことです。

X870E / X870マザーではDDR5-8000メモリをサポート
X870E / X870マザーではDDR5-8000メモリをサポート

Zen5

Posted by にっち