AINEXのM.2 SSD用大型ヒートシンク『HM-23』レビュー。サーマルスロットリングと無縁の最強クラスの冷却性能
AINEX(アイネックス)のM.2 SSD用大型ヒートシンク『HM-23』を購入しましたのでレビューいたします。製品と冷却性能を見ていきます。
M.2 SSD用大型ヒートシンク『HM-23』
こちらのヒートシンク、なんと高さ3cmもあって、M.2 SSD用としてはかなり大きなサイズとなっています。WD BLACK SN750 NVMe SSD 2TBに取り付けるとこんな感じです。
AINEX HM-23 + WD_BLACK SN750 2TB
付属品の熱伝導両面テープは結構粘着力が強いため、ちょっとやそっとじゃ外れませんが、念のために結束バンドで固定しています。(結束バンドは付属しません)
付属品
HM-23には熱伝導両面テープが付属してきます。しかし、かなり薄いため(目算0.1mmくらい)、各チップに段差があるとチップとヒートシンクの間に隙間ができてしまいます。そういった場合にはThermal GrizzlyのサーマルパッドminusPad8 0.5mm厚等で調整すると良いです。
WD BLACK SN750 NVMe SSD 2TBの場合、左右端のチップに付属の熱伝導両面テープ、真ん中2つのチップにminusPad8 0.5mm厚で丁度良かったです。
冷却性能・書き込み速度テスト
テストのセッティングは以下。
テスト環境はバラック。室温23.5度。M.2 NVMe SSDはWD BLACK SN750 NVMe SSD 2TBを使用。WD BLACK SN750 NVMe SSD 2TBの表面のシールは剥がして、HM-23を取り付けています。すぐ真横に空冷CPUクーラー(Noctua NH-D15)がありますが、BIOS読みで0rpmと表示されるくらいまでファン回転数を絞っていて(実際にはたぶん300rpmくらい)、風量的にも位置的にもエアフローの影響はほとんどありません。
書き込みテストはTxBENCHの全域シーケンシャル書き込みテストで行います。このテストは、文字通りに全領域に書き込みを行うテストですが、最初に全領域分のテストファイルが作成されて、その後、テストファイル内で書き込みテストが行われます。つまり、実質、全領域の書き込みが2周発生します。今回使用するWD BLACK SN750 NVMe SSD 2TBだと、4TB分、ずーっと書き込みをし続けることになります。かなりエクストリームなテストです。そんな過酷な状況で、温度や書き込み速度、サーマルスロットリングはどうなるのか、結果がこちら。
経過時間: 3分58秒 | 転送速度: 1.45GB/s | 温度: 49度
経過時間: 20分39秒 | 転送速度: 1.47GB/s | 温度: 57度 (1周目終了直前)
経過時間: 41分43秒 | 転送速度: 1.47GB/s | 温度: 57度 (2周目終了直前)
WD BLACK SN750 NVMe SSD 2TBは最初の数十GBはキャッシュが効いて3000MB/sくらいの書き込み速度が出ますが、キャッシュが切れると1500MB/s付近になります。41分間・4TB連続書き込みというこんな普通ではありえない使い方をしてもずっと1500MB/sを保っており、サーマルスロットリングによる速度低下は発生しませんでした。また、温度も最大57度を上限に、それ以上あがることはありませんでした。高さ3cmというM.2 SSD用としては非常に大きなヒートシンクなだけあってしっかりと冷却ができています。
このテストではエアフローの影響をほとんど受けない状況でしたが、しっかりとファンを回してるエアフローの良いケースに入れるともっと温度の低下が見込めると思います。
ちなみに、HM-23を取り付けていないと、こんなことになります。
わずか4分程度で85度に達しサーマルスロットリングにより速度が安定しなくなる
テストを始めてわずか4分程度で85度に達し、サーマルスロットリングにより速度が数百MB/sに落ち込んで、85度未満になったら1500MB/sに戻って、85度になるとまた落ち込むという不安定な書き込み速度になります。HM-23の有無でこれほどまでに温度と速度が変わってきます。
まとめ
HM-23は、高負荷時に30度前後の冷却効果が見込める最強クラスのM.2 SSD用ヒートシンクです。M.2 NVMe SSDをがっつり冷やして安定した速度を保ちたい人には非常におすすめです。これほどの冷却効果がありながら実売価格980円前後とお安いのもグッドです。3cmという高さがネックですが、それさえクリアできるなら是非とも取り付けておきたい一品と言えるでしょう。