Ryzen 9 9950X3Dと9900X3Dに搭載される3D V-Cacheは1つ。2つ搭載されるというのはフェイクニュース
Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dに2つの3D V-Cacheが搭載されるというフェイクニュースが国内外で出回っています。
このフェイクニュースの発端は海外メディアのTechPowerUp。TechPowerUpは台湾メディアのBenchLifeが、Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dに2つの3D V-Cache (1CCDにつき1つの3D V-Cache)が搭載されると紹介したと報じています。しかし、BenchLifeは一言もそんなことを言っていません。
ただ、BenchLifeも誤解を招くRyzen 9000X3Dシリーズのキャッシュ構成を書いています。BenchLifeの記事には以下のようにRyzen 9000X3Dシリーズのキャッシュ構成が記されています。
大前提として、1CCDのL3が32MB、そして3D V-Cacheが64MBであることを覚えておいてください。
▼BenchLifeの記事のキャッシュ計算式
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上記計算式を見てどう思われたでしょうか。おそらくは、単純に計算を行ったら「??」となったことでしょう。Ryzen 9 9950X3Dを例に挙げると、64+128+16+1=209MBになるはずです。しかし、「=145MB」と書かれています。
なぜ、上記のような意味不明な計算式が出てきたかと申しますと、おそらくは元となっているのが海外メディアのVideoCardzの記事。VideoCardzでは、Ryzen 9000X3Dシリーズのキャッシュの計算式として以下のように記しています。
▼VideoCardzの記事のキャッシュ計算式
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BenchLifeのキャッシュ計算式は、おそらくはVideoCardzが書いたものの改変(あるいは誤植)であり、変な風に改変されています。
そして、VideoCardzの計算式は、すべてのモデルで3D V-Cacheが1つのみの搭載であることを示しています。
VideoCardzのRyzen 9 9950X3Dを例に挙げると「32 MB Per CCD (64 MB L3) + 64 MB 3D V-Cache」この部分は、1CCDが32MBのため「2CCDで合計64MBのL3 + 64MB 3D V-Cache」で合計128MBとなります。
しかし、BenchLifeはおかしな改変をして「64MB L3 Cache + 128MB 3D V-Cache」と書いています。BenchLifeの「128MB 3D V-Cache」という部分は、「2CCDで合計64MB + 64MB 3D V-Cache」を示しています。よって、最終的には「=145MB」となっています。
BenchLifeは下位モデルも同様に、3D V-Cacheの部分はL3との合計が書かれており、「96MB 3D V-Cache」という意味不明な書き方をしています。
TechPowerUpは、BenchLifeの改変(誤植)を勘違いして、Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dには2つの3D V-Cacheが搭載される(1CCDにつき3D V-Cache)と述べています。
繰り返しになりますが、一次ソースのBenchLifeは3D V-Cacheが2つ搭載されるなんて言っていません。一部の国内外で報じられているRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dに2つの3D V-Cacheが搭載されるという話はフェイクニュースです。
余談ですが、AMDは過去に2つのCCDにそれぞれ3D V-Cacheを搭載した実験をすでに行っています。しかし、キャッシュが2つにわかれていると、ゲームパフォーマンスが向上しなかったため、3D V-Cacheは1つだけの搭載になりました。