Microsoft、KB5034441の不具合の修正を諦める
Microsoftは、Windows10用セキュリティ更新プログラムKB5034441の不具合の修正を諦めました。
KB5034441の不具合の修正を諦める
KB5034441とは、2024年1月10日にWindowsUpdateに配信されたWindows10用セキュリティ更新プログラム。多くのPC環境で0x80070643エラーが表示されてインストールに失敗する不具合が発生しており問題となっています。
この更新プログラムは、KB5034439というKB番号でWindows Server 2022にも配信されていて、こちらも同様の不具合が発生しています。
0x80070643エラーを回避してKB5034441やKB5034439をインストールする方法もあるにはあるのですが、手動でパーティションサイズを変更する必要があるため、一般的なPCユーザーには難易度の高いものとなっています。そのため、Microsoftは、何かしら別の手段で簡単にインストールできるよう改善・修正に取り組んでいました。
しかし、2024年4月30日付け(米国時間)でMicrosoftは以下の発表をしました。
KB5034441 (またはKB5034439)をインストールしようとすると、以下のエラーメッセージが表示される場合があります。
この問題が将来的にWindows Update経由で自動的に解決されることはありません。このエラーが発生したPCに更新プログラムをインストールするには、手動でWindows回復環境(WinRE / Windows RE)のパーティションサイズを増やす必要があります。Windows回復環境のパーティションには250MBの空き容量が必要です。十分な空き容量がない場合は、以下のいずれかの方法で手動でパーティションサイズを増やしてください。
上記いずれかの手順を完了すると、更新プログラムをインストールできます。 なお、PCにWindows回復環境が構成されていない場合は、KB5034441 (またはKB5034439)をインストールする必要はありません。その場合、エラーでインストールできなくても無視してください。Windows回復環境が構成されているかどうかは以下の手順で確認できます。
[Source: Microsoft] |
Microsoftは、この不具合が自動的に解決することはないと述べています。つまるところ、Microsoftはこの不具合の修正を諦めました。インストールするには手動でパーティションサイズを変更するしかありません。本不具合情報ページのステータスも『Resolved』(解決済み)とマークされました。
何も解決していないのにResolved (解決済み)とマークされた
インストールするべきか否か
KB5034441やKB5034439は、攻撃者がターゲットのPCに物理的にアクセスできる場合、Windows回復環境を悪用してBitLockerをバイパスし、暗号化したデータにアクセスできるという脆弱性(CVE-2024-20666)を修正する更新プログラムです。BitLockerを使用していて、第三者に物理的にPCにアクセスされる心配がある方は、この更新プログラムのインストールが推奨されます。
しかし、BitLockerを使用していない方には一切関係ありません。『Show or hide updates』(wushowhide.diagcab)を使って更新プログラムを永久的に非表示にしてまったく問題ありません。また、第三者にPCに物理的にアクセスされる心配がない個人用PCの場合も、非表示にして問題ないと筆者は考えます。
パーティション操作は、誤ると最悪OSが起動しなくなる恐れがあります。そのようなリスクを犯してまでこの更新プログラムをインストールする必要があるでしょうか。
どうするかの判断はお任せいたします。PCの操作に自信のある方は手動でパーティションサイズを変更してインストールすれば良いでしょう。そうでない方は、失敗するリスクを犯してまでこの更新プログラムをインストールする必要性はないと筆者は考えます。