RTX 3000シリーズのメモリ温度が購入時よりも高くなる。短期間でサーマルパッドが大幅に劣化する『オイルブリード問題』

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MSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10Gの分解写真

GeForce RTX 3080や3080 Ti、3090など、RTX 3000シリーズのメモリ温度が購入当初よりも高くなるという問題が発生しています。いったいなぜそんなことが起こるのか。ドイツメディアのigor’sLABが報じました。

GeForce RTX 3000シリーズで使用されているサーマルパッドには問題がある。まずはこの写真を見てほしい。

MSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10Gの分解写真

MSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10Gの分解写真

これはMSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10Gを分解した写真だが、VRAM上に水たまりができている。この水たまりはサーマルパッドからのオイルブリード(オイル分が滲みでる現象)だ。

VRAMに圧力をかけすぎるとハンダクラックが起こる危険性があるため、メーカーは柔らかいサーマルパッドを採用している。柔らかいサーマルパッドの多くは、得てして基材に大量のシリコンが含まれている。この写真は、サーマルパッドから大量のシリコンオイルが流出していることを示している。シリコンオイルが流出しすぎると熱接触部分が減少してVRAMの温度が高くなり、サーマルスロットリングへと繋がる。GDDR6Xの場合は110度まで上がるとサーマルスロットリングが発生する。

問題はこれだけではない。PCを(マザーボードを)横置きにしている場合や、ライザーケーブルを使用してグラフィックスカードを縦置きにしている場合にはさらに注意が必要だ。シリコンオイルは絶縁性のため、漏れ出たオイルがPCIeスロットにまで流れ落ちるとスロットが損傷する(接触不良を起こす)危険性がある。

オイルブリードは、ユーザーがどれだけカードを使用したかにもよるが、数週間、あるいは数か月かけて徐々に進行していく。酷使すればオイルブリードのペースも早くなるだろう。以下の写真はマイニングには使用されていない普通に使用されていたカードだ。

MSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10G - VRAMとの熱接触部分が減少している

MSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10G - VRAMとの熱接触部分が減少している
MSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10G - VRAMとの熱接触部分が減少している

こんなことは絶対にあってはならない。RMA案件と言っても過言ではない。現在、MSIは、このサーマルパッドの代替品を探しているという。

放熱ゴム(通称:はんぺん)でおなじみのワイドワークのQ&Aによると、柔らかいサーマルパッドであればある程度のオイルブリードは発生するものだそうです。しかし、VRAMの温度が高すぎることが起因しているのか、材質に問題があるからかはわかりませんが、上記の例ではあまりにも分泌量が多すぎます。

軽く調べたところ、この現象はMSI GeForce RTX 3080 SUPRIM 10GBだけに限らず、Gigabyteのグラボでも発生していました。

Gigabyte GeForce RTX 3080

Gigabyte GeForce RTX 3090
Gigabyte GeForce RTX 3080 / 3090 [Source: Youtube 1 / 2

MSIやGigabyteだけに限らず、そのほかのメーカーのカードでも発生する恐れがあります。もし、購入当初よりもパフォーマンスが低下していたり、メモリ温度が高くなっていたらこの現象を疑った方が良いかもしれません。

GDDR6Xカードの場合、HWiNFOまたはGPU-ZからVRAMの温度が確認できます。(GDDR6以下は温度表示非対応) この『オイルブリード問題』が疑われる場合や、温度に異常が見つかった場合はメーカーや代理店に相談した方が良いでしょう。

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Posted by にっち