【Windows10】 WindowsUpdate 2021年7月 不具合情報 - プレビューリリース KB5004296 [Update 2]

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2021年7月30日にWindowsUpdateに配信されたWindows10用更新プログラムKB5004296の不具合情報です。

月例の翌週以降に公開・配信される更新プログラムは『プレビューリリース』と呼ばれており、新たなセキュリティアップデートを含んでおらず、不具合の修正や機能改善のみの更新プログラムとなっています。特に問題がなければ次の月例に同梱されます。

『プレビューリリース』は文字通りに早期公開のプレビュー版なため、すぐにでも適用したい不具合の修正がない場合や、人柱になりたくない場合はスルーを推奨いたします。不具合の修正内容については各更新プログラムのリンク先よりご確認くださいませ。

以下、2021年7月30日に公開された更新プログラムの不具合およびその回避策・解決策になります。『.NET Framework』など、その他の更新プログラムやWindows Server固有の不具合は割愛しています。

更新履歴
① ALT + TABキーを使用すると、ゲーム画面に戻れなくなる不具合(ユーザー報告)を加筆。 [2021/8/13]
② タスクバーに不具合が発生している旨を加筆。Open Shellが正常に動作しなくなる不具合(ユーザー報告)を加筆。 [2021/8/17] [New]

21H1 / 20H2 / 2004用プレビューリリース: KB5004296

基本情報

KB5004296はWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004用のプレビューリリースと呼ばれる累積更新プログラムです。この更新プログラムを適用することで、機能の改善や不具合の修正などが施されます。ただし、あくまでもプレビュー版であることには注意が必要です。

この更新プログラムに新たな脆弱性の修正は含まれておらず、インストールしなくてもセキュリティ上の問題はありません。

更新プログラムのハイライト

  • 電源プランとゲームモードが期待通りに機能しない不具合を修正しました。この不具合により、フレームレートやパフォーマンスが低下していました (電源プランが『バランス』になっているとゲームパフォーマンスが低下する報告されていた不具合の修正と思われます)
  • デスクトップユーザーがGaming Servicesで特定のゲームを開けない不具合を修正
  • IME (Input Method Editor)を使用してテキストを入力できない不具合を修正。例えば、電源オプションでノートPCの蓋を閉めるとシャットダウンする設定にしていると、起動後にこの不具合が発生する場合がありました
  • ゲームコントローラーのトリガーボタンを押すと、ゲーム内の選択音が大きくなる不具合を修正
  • VPN (Virtual Private Network)に接続後、インターネットに接続していることが検出されない不具合を修正
  • 印刷が停止したり、正常に印刷されない不具合を修正。この不具合はWindows10 バージョン2004以降にアップデートしたあと、USB接続で印刷をすると発生していました

不具合情報

タスクバーを上・左・右のいずれかに移動していて、『ニュースと関心事項』が有効になってると、フルスクリーンで起動したゲームや、Open Shellのスタートメニュー、タスクバーのプレビュー(サムネイル)などを開いても勝手に消える・最小化されるといった不具合が発生しています。一度タスクバーを下に移動して『ニュースと関心事項』を無効にして、タスクバーを元の位置に戻すことでこの不具合を回避できます。

タスクバー右クリックから『ニュースと関心事項』を無効にできる
タスクバー右クリックから『ニュースと関心事項』を無効にできる

タスクバーを移動している方はお気をつけください。何かしらタスクバーの挙動に異常が発生したらこの不具合を疑ってください。『ニュースと関心事項』を今後使用しないなら完全に無効化にしておいても良いと思います。

以下、KB5004296の既知の不具合とユーザー報告の不具合になります。

既知の不具合
不具合概要回避策

ふりがなの自動入力が正常に動作しない場合があります。例えば、漢字で氏名を入力した際にふりがなも自動入力されるようなアプリケーションを使用すると、正しくないふりがなが表示される場合があります。

この不具合は『ImmGetCompositionString()』関数を使用するアプリで発生します。

この不具合は、2020年6月10日以降(KB4557957以降)のWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004のすべての更新プログラムに影響します。

詳細は以下の記事参照。
新しいIMEに新たな不具合。ふりがなの自動入力が異常動作。Windows10 2004 / 20H2で発生。回避策あり

『設定』 → 『設定の検索』に「日本語 IME の設定」と入力して『日本語 IME の設定』を開く → 『全般』 → 一番下の『以前のバージョンの Microsoft IME を使う』をオンに変更することでこの不具合を回避できます。

『以前のバージョンの Microsoft IME を使う』をオンに変更

濁点や半濁点が付いている一部の半角カタカナと全角カタカナの文字は、同じ文字として解釈されません。CompareStringEx()関数でNORM_IGNOREWIDTHフラグを指定して比較すると、ソートルールの不具合により、これらの文字は異なるものとして評価されます。この不具合は、2020年6月10日以降のWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004のすべての更新プログラムに影響します。

コマンドプロンプト(管理者)を開いて、以下のコマンドを入力・実行してください。

reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions /ve /d 0006020F /f

上記コマンドはレジストリのデータを書き換えるコマンドです。PCを再起動するとソートルールが1909以前に戻って不具合が発生しなくなります。

ただし、この回避策は、2020年12月1日公開のKB4586853以降が適用されている環境でのみ行ってください。KB4586853以降が適用されていない環境で行うと、PCが起動しなくなる恐れがあります。

また、Microsoftは元に戻す方法を案内していませんので実行する際はご注意ください。

こちらの環境で調べたところ、元のデータは20H2 / 2004ともに『00060305』だったので以下を実行すれば元に戻るはずです。

reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions /ve /d 00060305 /f

環境によってデータが異なるなんてこともあるかもしれませんので、レジストリエディターで『HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions』を開いて、『(既定)』の変更前のデータを確認しておくことをおすすめいたします。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions

上記内容でいまいちよくわからない場合や、この不具合に困っていない場合は、この回避策の実行はおすすめいたしません。修正されるのを待つことをおすすめいたします。

カスタムオフラインメディアまたはカスタムISOイメージからWindows10をインストールした環境だと、この更新プログラムによってMicrosoft Edge Legacyが削除されても、新しいMicrosoft Edgeに自動的に置き換えられない場合があります。

この不具合は、カスタムオフラインメディアまたはISOイメージが、2021年3月29日以降にリリースされたスタンドアロンのサービススタック更新プログラム(SSU)を最初にインストールせずに、この更新プログラムをイメージにスリップストリームして作成された場合にのみ発生します。

なお、WindowsUpdateに直接接続して更新プログラムを受信するデバイスは影響を受けません。これにはWindows Update for Businessを使用しているデバイスも含まれます。

この不具合を回避するには、最新の累積更新プログラム(LCU)をスリップストリームする前に、まず2021年3月29日以降にリリースされたスタンドアロンのサービススタック更新プログラム(SSU)をカスタムオフラインメディアまたはISOイメージにスリップストリームしてください。

1. 以下のコマンドでmsuからcabを抽出します。(KB5000842での例)

expand Windows10.0-KB5000842-x64.msu /f:Windows10.0-KB5000842-x64.cab <保存先のパス>

2. 以下のコマンドでcabからSSUを抽出します。

expand Windows10.0-KB5000842-x64.cab /f:* <保存先のパス>

3. これでSSU cab『SSU-19041.903-x64.cab』が作成されます。このファイルを最初にイメージスリップストリームして、次にLCUを入れてください。

カスタムメディアを使用してOSをインストールした際にこの不具合が発生した場合は、新しいMicrosoft Edgeを直接ダウンロードして手動インストールすることで、この不具合に対処できます。新しいMicrosoft Edge for businessを広範囲に展開する必要がある場合は、『ビジネス向け Microsoft Edge をダウンロードして展開する』を参照してください。

2021年6月22日に公開されたWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004用プレビューリリースKB5003690をインストールした一部環境において、7月7日(KB5004945)以降の更新プログラムがインストールできない場合があります。その際、『PSFX_E_MATCHING_BINARY_MISSING』というエラーメッセージが表示されます。

詳細は以下の記事参照。
KB5004237等のインストールに失敗する不具合。対処方法あり

Microsoftによると、放っておいても『Windows Update Medic Service』(WaaSMedicSVC)サービスにより、インプレースアップグレードが行われて自動的に修復されるとのこと。

より早く問題を解決したい場合は、以下の手順を実行してください。

  1. 『スタート』 → 『Windows システム ツール』 → 『コマンド プロンプト』を右クリックして『その他』 → 『管理者として実行』
  2. コマンドプロンプトに『Reg.exe Add HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion /v AllowInplaceUpgrade /t REG_DWORD /f /d 1』と入力してエンター。

これで最大で48時間以内にインプレースアップグレードが行われて、同時に最新のセキュリティ更新プログラムも適用されます。

ユーザー報告
不具合概要回避策

フルスクリーンモードでゲームを起動して[ALT]+[TAB]キーでアプリケーションを切り替えると、その後、ゲーム画面に戻れなくなる場合があります。

[ALT]+[TAB]キーを使用しても、タスクバーからゲームを選択してもデスクトップに強制的に戻されてゲームに戻れません。

詳細は以下の記事参照。
KB5005033等にALT+TAB使用後にゲーム画面に戻れなくなる不具合

現時点でユーザーが取れる回避策としては、この不具合が発生する場合は[ALT]+[TAB]キーを不用意に使用しないことです。

このほか、KB5004296をアンインストールすることでも本不具合は発生しなくなります。しかし、2021年8月11日公開のセキュリティ更新プログラムKB5005033でも修正されていないため、KB5004296をアンインストールしても、KB5005033をインストールすると再発します。KB5005033もアンインストールすれば不具合は発生しなくなりますが、KB5005033はセキュリティアップデートのため、アンインストールすると脆弱性が未修正のままになることには注意が必要です。

[New]

Open Shellを使用している環境で、タスクバーを上に移動していると、スタートボタンを押してもスタートメニューが一瞬だけ表示されてすぐに閉じてしまいます。

本不具合は2021年7月30日に公開されたWindows10 21H1 / 20H2 / 2004用プレビューリリースKB5004296以降をインストールした環境で発生する場合があります。

詳細は以下の記事参照。
KB5005033 / KB5004296適用後、Open Shellが正常に動作しなくなる不具合。対処方法あり

この不具合は、タスクバーを上に配置して、『ニュースと関心事項』が有効になっていると発生します。

タスクバーを一度、下に移動して、タスクバーを右クリックして『ニュースと関心事項』を無効にして、元の配置に戻してください。

タスクバー右クリックから『ニュースと関心事項』を無効にできる

これでこの不具合は発生しなくなります。