ASRock、Ryzen 7 9800X3D環境でPCが起動しなくなる不具合についてアナウンス。改善する3.20ベータBIOSを公開。疑問点は残る [Update 1: ASRockからの回答を追記]
ASRockは、同社製AM5マザーボード + Ryzen 7 9800X3D環境において、PCが起動しなくなる不具合に関するプレスリリースを公開しました。
事の発端
AMD Ryzen 7 9800X3D環境において、突然PCが起動しなくなり、CPUが故障した、壊れた、死亡したといった報告がRedditで相次いで出ており問題になっています。この不具合は、数時間後、数日後、数週間後、PC起動時など、いつ発生するかランダムとされています。
不具合報告をまとめたスレッドによると、この不具合が発生したマザーボードは、40件中、ASRockが32件、ASUSが6件、Gigabyteが1件、MSIが1件報告されています。
また、この不具合に遭ったほとんどのユーザーは、CPUを返品・交換することで、正常に起動するようになったと報告しています。
しかし、ASRock JapanによるとCPUは壊れていないとのこと。ASRock JapanはX (旧Twitter)で以下のように述べています。
ASRockによると、メモリの相性問題で本不具合が発生しているとのこと。また、公式に本件に関する詳細なプレスリリースを公開するとのこと。
かなり簡潔にまとめましたが、事の発端となる詳細を記した前回の記事は以下のリンク先をご覧ください。
本題: ASRockが公開したプレスリリース
以下、ASRockが公開した本不具合に関するプレスリリースです。
▼Ryzen 9000シリーズCPUにおける起動問題を改善するAM5マザーボード用最新BIOSをリリース 当社(ASRock)のAM5マザーボードと一部のAMD Ryzen 9000シリーズを組み合わせて使用すると、PCの起動に不具合が発生したり、エラーコードが表示されるという報告がRedditに寄せられています。 ユーザーエクスペリエンスを向上させるため、当社はAM5マザーボード用に最新の3.20ベータBIOSを速やかにリリースいたしました。このBIOSにより、本不具合を改善いたしました。 お客様は当社公式WebサイトからBIOSをダウンロードしてインストールするか、マザーボードのBIOSフラッシュバック機能を使用して簡単にアップデートができます。当社は、今後も製品の互換性向上に努めていくことをお約束いたします。 最新のAM5マザーボードBIOSの継続的なアップデートについては、当社公式Webサイトをご覧ください。 ― ASRock |
疑問点は残る
つまるところ、ASRockによると、まず、CPUは壊れておらず、バージョン3.20へとBIOSアップデートを行うことで、起動しない不具合が改善されるとのこと。ASRockマザーボード環境で本不具合に遭っている方は3.20ベータBIOSへとアップデートをお試しください。
ただ、疑問点が複数残ります。
- なぜある日突然起動しなくなるのか
- 具体的な発生条件は何か
- CPUをRMA(返品・交換)すれば起動するのはなぜなのか(起動しなくなったCPUにいったい何が起こっているのか)
- 本不具合の責任の所在どこなのか(AMDが悪いのか、マザーボードメーカーが悪いのか、あるいはその両方か)
- 具体的な原因はどこにあるのか(メモリとの相性問題とのことですが、具体的に何が起こっているのか)
- この不具合に遭わないようにするために、事前にユーザー側で予防できることはあるか
今回のプレスリリースでは、この辺の説明はされておらず、取り急ぎ、改善BIOSをリリースしたという情報のみに言及されています。
今後、ユーザーが安心して使用するためにも、この辺の情報も公開されることが望まれます。
Update 1: ASRockからの回答 [2025/2/26] [New]
上記疑問点についてASRock JapanがX (旧Twitter)にて回答をしてくださっていたので、掲載させていただきます。『A.』はASRock Japanからの回答になります。
Q. なぜある日突然起動しなくなるのか
A. 安定動作しているのにも関わらずBIOS更新した為。(BIOS更新しない限り発生しない)
Q. 具体的な発生条件は何か
A. 一部の古いDDR5と極一部のX3DのメモコンとAgesaの影響
Q. CPUをRMA(返品・交換)すれば起動するのはなぜなのか(起動しなくなったCPUにいったい何が起こっているのか)
A. CPUのメモコンが変わる為
Q. 本不具合の責任の所在どこなのか(AMDが悪いのか、マザーボードメーカーが悪いのか、あるいはその両方か)
A. 極一部の組み合わせによるもの、破損と誤情報を拡散した責任の所在も明確にしてほしいです。
Q. 具体的な原因はどこにあるのか(メモリとの相性問題とのことですが、具体的に何が起こっているのか)
A. 上記の記載の通り、古いDDR5と極一部のX3DのメモコンとAgesaの影響
Q. この不具合に遭わないようにするために、事前にユーザー側で予防できることはあるか
A. とても大切な事なので3回書きますが、安定して動作している場合BIOSを更新しない。安定して動作している場合BIOSを更新しない。安定して動作している場合BIOSを更新しない。
ご回答ありがとうございました。
以下、ASRock Japanへの個人的なお返事と筆者の考えになります。
>Q. 本不具合の責任の所在どこなのか(AMDが悪いのか、マザーボードメーカーが悪いのか、あるいはその両方か)
>A. 極一部の組み合わせによるもの、破損と誤情報を拡散した責任の所在も明確にしてほしいです。
こちらのスレッドをご覧いただけましたらおわかりいただけるかと思いますが、多くのユーザーからRyzen 7 9800X3Dが壊れたとの報告が出ています。対処方法がない・わからない段階では事実上「壊れている」という報告になるのも致し方ないでしょう。このようなユーザー報告・フィードバックがあってこそ、不具合が明らかになり、修正へと繋がるものと筆者は考えております。もし、この世からこういったユーザー報告が消えたらどうなるでしょうか。あまり良い未来になるとは思えません。
当サイトではユーザーが不具合に遭わないようにするための不具合情報や、対処方法、解決策、その手がかりになる情報を取り扱っています。今回の不具合について、前回の記事はASRock板モデレーターであるSoupaSoka氏が立てたスレッド『9800X3D Failures/Deaths Megathread』を訳し、現時点で問題提起されていることを記事とし、その後、貴社が本件に関して言及していることを知り、アップデートして貴社の「CPUは壊れていない」との見解を追記させていただきました。今回、新たに公開した本記事でも貴社の「CPUは壊れていない」との見解およびプレスリリースを書かせていただいています。
筆者としましては、世間で騒がれていることと貴社の見解を取り入れ、誤情報を拡散したつもりはありませんが、もし、記事の内容にご納得いただけないようでしたら、お手数ですが当該箇所をご指摘いただけましたら幸いです。
この度は、貴社が本不具合に対する情報を共有してくださったことに感謝しております。おかげで迅速に記事をアップデート・公開することができ、メーカーの見解と対処方法を掲載し、当サイトを見てくださっている皆様にお知らせすることができました。ありがとうございました。
追伸
できればこういった技術情報もプレスリリースに掲載していただければ、ユーザーはなお安心できるかと思います。