一度に大量のファイルを書き込むとSSDに障害が発生するとの不具合報告。最悪アクセスできなくなる。Windows11 24H2にて。KB5063878 / KB5062660に起因か [Update 3: 単体の大きなファイルも対象]

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Windows Issue

Windows11 24H2用更新プログラム、KB5063878やKB5062660をインストールした一部環境において、大きなファイルや大量のファイルを書き込むとSSDに障害が発生する場合があるとの不具合報告が出ています。

更新履歴 [記事初公開日: 2025/8/16]
① 『▼不具合が発生したSSD』に当サイトへの報告『SanDisk Extreme PRO M.2 NVMe 3D SSD』の項目をを加筆。 [2025/8/17] [New]
② 『ねこるすきー氏による21台ものSSD検証結果』の項目をを加筆。 [2025/8/17] [New]
③ 単体の大きなファイルも対象となるため、『対策』内容や記事のところどころを改訂。 [2025/8/17] [New]

不具合概要

2025年8月13日にWindows11 24H2のWindows Updateに配信されたセキュリティ更新プログラム、KB5063878をインストールした一部環境において、SSDに大きな単体ファイルや、合計容量の大きい大量のファイルを一気に書き込むと、そのSSDに障害が発生する場合があるとの報告が出ています。(KB5063878の1つ前、2025年7月23日のプレビューリリースKB5062660からこの不具合が発生しているという報告(1 / 2)も出ています)

この不具合報告を最初にしたのはX (旧Twitter)ユーザーのねこるすきー氏。KB5063878を適用したWindows11 24H2環境でサイバーパンク2077のアップデートを行っていると、突然、ゲームをインストールしているSSDがOSから認識されなくなりました。

ねこるすきー氏が検証したところ、同氏の環境では使用率60%以上のSSDに連続で50GB以上書き込むとSSDがOS上からロスト。PCを再起動することで再び認識・表示されるようになるものの、また同じように大量の書き込みを行うと症状が再発・再現。しかし、再起動で直れば(認識されるようになれば)運の良い方で、SSDによっては再起動してもそのドライブ(パーティション)にアクセスできない状態に陥るとのこと。

また、Phison製のコントローラーを搭載したSSDで本不具合が発生しやすく、DRAMキャッシュレスモデルだとより少ない書き込み量で発生する傾向が強いと見られています。

重要な点として、この不具合はすべてのSSD / ストレージで発生するわけではなく、特定のストレージでのみ発生が確認されています。ねこるすきー氏の検証では、不具合が発生するSSDと発生しないSSDがありました。

(筆者も手持ちのDRAMキャッシュレスSSD『SanDisk SSD PLUS 240GB』(SDSSDA-240G)で検証してみましたが、222GB中、151GB埋めて(60%以上)、連続で62GB書き込んでみたものの何も起こらず、本不具合を再現できませんでした)

この不具合はねこるすきー氏の環境だけでなく、ほかのXユーザーの環境でも報告されています。現時点でこの不具合の発生が報告されているSSDは以下。(各リンクは報告ポスト)

▼不具合が発生したSSD

逆に大量のファイルを書き込んでも不具合が発生しなかったSSDは以下。

▼不具合が発生しなかったSSD

ねこるすきー氏による21台ものSSD検証結果 [2025/8/17] [New]

ねこるすきー氏による21台ものSSDの検証結果が公開されました。詳細な検証結果は以下のねこるすきしー氏のポストをご覧ください。

ザックリとリストにすると以下。ねこるすきー氏による注意点として、以下のSSDはあくまでねこるすきー氏の私的環境下で検証した結果であり、検証対象となったメーカーの製品性能や問題を追及・保証等するものではなく、KB5063878およびKB5062660に起因していることを断定するものではありません。また、当該データをもってこれらのメーカーおよび製品に関する責任を追及するものでもありません。あくまでも自衛のために参考にしてもらいたいとのことです。

▼不具合が発生したSSD

  • WD Blue SN5000 2TB NVMe (再起動で復旧)
  • WD Red SA500 2TB SATA (再起動で復旧)
  • WD Blue SA570 1TB SATA M.2 (再起動で復旧)
  • WD Blue SA510 2TB SATA (アクセス不可、再起動でも復旧せず)
  • Corsair MP510 960GB NVMe (再起動で復旧)
  • Corsair MP600 2TB NVMe (再起動で復旧)
  • SK hynix Platinum P41 NVMe (再起動で復旧)
  • Crucial P3 Plus NVMe (再起動で復旧)
  • ADATA LEGEND 800 2TB NVMe (再起動で復旧)
  • HP FX7000 2TB NVMe (再起動で復旧)
  • XPG SX8200 Pro 2TB NVMe (再起動で復旧)
  • Hanye HE70 2TB NVMe (再起動で復旧)

▼不具合が発生しなかったSSD

  • Samsung 990 PRO 2TB NVMe
  • Samsung 980 PRO 2TB NVMe
  • Samsung 870 EVO 1TB SATA
  • WD Black SN7100 2TB NVMe
  • WD Blue SA510 1TB SATA M.2
  • Seagate FC530 2TB NVMe
  • Seagate FC530 1TB NVMe
  • Solidigm P44 Pro NVMe
  • Crucial T700 2TB NVMe

海外での反応

筆者が調べた限り、英語圏でこの不具合に関する報告は見つかりませんでした。RedditやX、海外メディアなどでも大きな騒ぎにはなっていません。

特定のSSD / ストレージのみで発生することと、大きな単体ファイルや、合計容量の大きい大量のファイルを連続書き込みをするという状況が少ないからか、問題がまだ表面化していないのかもしれません。

あるいは、ほかにも何かしらの発生条件があって、環境依存度が高いのかもしれません。

(2025/8/18ちょっとした追記:WCCF TECHを発端にいくつかの海外メディアでもこの話題が取り上げられるようになっていますが、一次ソースはねこるすきー氏です)

原因

KB5063878およびKB5062660が怪しいと見られていますが、確固とした具体的な原因は判明していません。SSDによって症状に差がある原因も不明です。

対策 [2025/8/17] [New]

現時点で取れる対策としては、

  • 数十GBの大きな単体ファイルを書き込まない
  • 合計で数十GBになるような大量のファイルを連続で書き込まない(時間をおいて何回かにわけて書き込む)
  • 大量のファイルを含んだ大きな圧縮ファイル(例えば200MBのファイルが200個含まれるような圧縮ファイル)を解凍・展開するときは、一気に行わず何回かにわけて行う
  • KB5063878 / KB5062660をアンインストールする

くらいでしょうか。なお、KB5063878はセキュリティ更新プログラムのため、アンインストールすると脆弱性が未修正のままになることには注意が必要です。

繰り返しになりますが、この不具合は特定のSSD / ストレージでのみ発生しており、すべてのストレージで発生するわけではありません。とはいえ、もし、自分が該当して、大量書き込みを行った結果、SSDにアクセスできなくなってデータが破損・吹っ飛んだらと考えるとかなり恐ろしい不具合と言えます。

この不具合の情報を公開・検証・共有いただいたねこるすきー氏、Xユーザーの方々、当サイトにご報告いただいた方に心よりお礼申し上げます。